2016年08月01日 県内調査に行ってまいりました 〜 兵庫県西播磨・津山・美作・阿波地域
7月12日・13日の二日間、総務委員会の県内調査に行ってまいりました。県内調査とはいえ、今年から近隣県の調査も対象となっております。
まず1日目は、兵庫県西播磨県民局の視察に行ってまいりました。県民局といいますと、岡山県では、9つの県民局を統廃合し、現在では、備前・備中・美作の3つの県民局になりました。ところが、兵庫県では6つの県民局を10に拡大し、行政施策が地域の末端まで行き届くように考えられています。そのような意味では、岡山県も県民局の在り方を考えなおしてみる必要があるのではないかと思います。
西播磨市は、岡山県と隣接していることもあり、県際交流を進めております。日生の牡蠣祭りや、津山さくら祭りなどとも連携をして、観光客の交流を図っています。平成14年に建設された西播磨総合庁舎は建設費38億円、この地域全体を播磨科学公園都市構想のもとに森の中の都市を目指して作られております。例えば、大屋根が庁舎全体を覆っており、自然の風が通風できるようになっている建物となっていました。
西播磨県民局の最大の問題は、人口減問題です。平成22年の国勢調査では27万2千人でしたのに、平成28年5月1日では推定25万8千人となっております。わずか5年あまりで1万4千人の人口減を見ています。そこで、西播磨地域では人口減対策として、<「結婚」っていいなキャンペーン>を推進しています。私は、すぐ隣が岡山県の備前市ですから、備前市と連携してこのキャンペーンの推進をしたらいかがかと提案をいたしました。
さて、西播磨県民局が位置する播磨科学公園都市には、SPring-8(スプリング8)があります。SPring-8とは、世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設であり、国内外の研究者向けの共同利用施設です。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する細く強力な電磁波だそうです。この放射光を用いて、物質科学・地球科学・生命科学・環境科学・産業利用など幅広い研究が行われております。
播磨科学公園都市では、2万5千人程度の人口都市づくりに挑戦しています。それを聞きながら、岡山の吉備高原都市構想を思い出しました。3万5千人の人口都市を造る予定で進めましたが、全くだめでありました。「2万5千人都市構想づくりは実現するのですか」と質問しましたら、「全くそういうつもりはありません」という答えが返ってきましたので、少し残念に思いました。
それから、津山洋学資料館に車を走らせました。洋学とは、江戸時代に西洋からもたらされた学問の総称です。津山市は、宇田川榕菴や箕作阮甫など、日本の近代化に貢献した優れた洋学者を輩出しております。昭和53年、中国銀行津山東支店の建物を利用し、全国でも珍しい洋学を専門にした資料館が作られました。館蔵・寄託等の著訳書・書簡・医療器具・書画など、約9‚400点の資料が収蔵されています。
岡山には日蘭協会がありまして、私もその会員の一人であります。4月18日に、さん太ホールで日蘭協会のシンポジウムが開かれ、箕作阮甫について拝聴しました。箕作一門の譜系を見て、近代日本に大きな影響を与えた素晴らしい人々に感銘を受けました。
津山洋学資料館は、重要伝統的建造物群保存地区である城東地区にあり、周囲には国指定史跡「箕作阮甫旧宅」や、国登録有形文化財である「城東むかし町家」(旧梶村家住宅)などがあります。皆さんもぜひ訪ねてみてください。
2日目は美作高等学校を訪ねました。美作高等学校では、厳しい生徒減の中で、いかに特色のある学校教育で次代を担う若者たちを惹きつけるか、様々な取り組みが行われております。
第1の特色は、国際交流です。1996年にオーストラリア・エメラルド高校と姉妹校提携をし、現在でも半年ごとの交流が続いています。第2の特色は、通信制課程の導入です。2001年に地域における青少年健全育成の一助にと設置され、2008年には文科省「教育改革推進モデル事業」指定校となりました。高校に行けなかった・卒業できなかったが、学びたいと思う青少年が学習し、高校卒業資格を得ることができる制度です。年間30日程度のスクーリング、2週間ごとのレポート、単位認定試験というスケジュールで、単位制となっています。地域の中学・高校から入学者があり、現在では138名が在籍をしています。地域の青少年育成の健全育成、そして、地域に残る若者の育成につながっているそうです。
また、現在の取り組みとしては、下記のようにお聞きしました。今後の発展に期待をいたすところであります。
1.「地域立の学校」として、「地域とつなぎ、地域から学ぶ」教育
2.「わかる授業作り」で「行きたい」学校に、自主教材作りの奨励
進学系・実務系の2系統で運営、8コースと20系で一人ひとりを伸ばす
3.エクセル特進コースの充実・発展を、地域に貢献できる有用な人材育成
4.美作大学コースの「サテライト教室」
5.先駆的な高校ユネスコ活動
視察の最後の目的地は津山市阿波地域でした。かつて阿波村といわれていた地域は、今から10年前の市町村合併で津山市に組み込まれました。しかし、この10年の間に、小学校がなくなり、ガソリンスタンドがなくなり、幼稚園がなくなり、役場の規模が縮小されました。そして、人口700人ほどの村から145人ほどの人が村を離れていきました。慌てふためいた地域の人達は「あば村宣言」をし、活性化する地域の拠点づくりに村をあげて取り組んでいます。
私は2年前にこの地域を訪ねたことがありまして、地域活性化の指導的役割を果たしている小椋さんや皆木さんにも再会をいたしました。当時は、阿波村立小学校が津山市に編入され、地域の子供達がバス通学で村を離れることになった時期でした。私は、「6歳になったら村から出て行け、というようなことをしてはだめです。どんなに子どもの数が減っても、村に学校を残すことに力を尽くさなくてはなりませんよ」とお話をさせていただきました。お二人ともこのことを覚えておられましたので、「あば村宣言」というならば、もう一度、小学校の開校を考えてもいいのではないかと申し上げました。
また、公民館や役場、郵便局や児童館、温泉交流館や加工工場などが中心部に集中していますけれども、高齢化率が上昇している中で、病院や診療所が必要なのではないかと提案しました。そして、「働く人がいて、働く場所がある」ことが、村の活性化には非常に重要であります。産業振興や企業誘致などを考え、阿波村の復活を図るべきではないかと、意見を申し上げました。
役場とは、そもそも、地域の人達の役に立つ場所であります。その規模がどんどん縮小していくということは、行政とのつながりにおいて役所の果たす役割が縮小していくことであります。阿波地域運営のための予算は、今では津山市の地域振興課からの交付金となっております。自分たちで予算を考え自分たちが執行するという体制がなかったら、いちいちお金を使う時に市役所にお願いをすることになります。本当に地域に目が届き、細かい配慮で施策を行うことができるでしょうか。まことにまどろっこしく、隔靴掻痒の感がいたします。今後は、そのあたりのことも考えたらいかがでしょうかと申し上げました。
「平成の大合併」は、ある種の時代の流れでありました。大きな波とうねりが押し寄せてきて、たくさんの市町村が合併しました。当時は、合併したことによって繁栄し活性化すると考えられていましたが、まったくその逆になるとは誰も予想しませんでした。阿波地域では、行政が何かをしてくれるという発想ではなく、自分達が何かしなければ村は元気にならないぞ、という発想で取り組まれています。今後の阿波村に大いにご期待申し上げます。
まず1日目は、兵庫県西播磨県民局の視察に行ってまいりました。県民局といいますと、岡山県では、9つの県民局を統廃合し、現在では、備前・備中・美作の3つの県民局になりました。ところが、兵庫県では6つの県民局を10に拡大し、行政施策が地域の末端まで行き届くように考えられています。そのような意味では、岡山県も県民局の在り方を考えなおしてみる必要があるのではないかと思います。
西播磨市は、岡山県と隣接していることもあり、県際交流を進めております。日生の牡蠣祭りや、津山さくら祭りなどとも連携をして、観光客の交流を図っています。平成14年に建設された西播磨総合庁舎は建設費38億円、この地域全体を播磨科学公園都市構想のもとに森の中の都市を目指して作られております。例えば、大屋根が庁舎全体を覆っており、自然の風が通風できるようになっている建物となっていました。
西播磨県民局の最大の問題は、人口減問題です。平成22年の国勢調査では27万2千人でしたのに、平成28年5月1日では推定25万8千人となっております。わずか5年あまりで1万4千人の人口減を見ています。そこで、西播磨地域では人口減対策として、<「結婚」っていいなキャンペーン>を推進しています。私は、すぐ隣が岡山県の備前市ですから、備前市と連携してこのキャンペーンの推進をしたらいかがかと提案をいたしました。
さて、西播磨県民局が位置する播磨科学公園都市には、SPring-8(スプリング8)があります。SPring-8とは、世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設であり、国内外の研究者向けの共同利用施設です。放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する細く強力な電磁波だそうです。この放射光を用いて、物質科学・地球科学・生命科学・環境科学・産業利用など幅広い研究が行われております。
播磨科学公園都市では、2万5千人程度の人口都市づくりに挑戦しています。それを聞きながら、岡山の吉備高原都市構想を思い出しました。3万5千人の人口都市を造る予定で進めましたが、全くだめでありました。「2万5千人都市構想づくりは実現するのですか」と質問しましたら、「全くそういうつもりはありません」という答えが返ってきましたので、少し残念に思いました。
それから、津山洋学資料館に車を走らせました。洋学とは、江戸時代に西洋からもたらされた学問の総称です。津山市は、宇田川榕菴や箕作阮甫など、日本の近代化に貢献した優れた洋学者を輩出しております。昭和53年、中国銀行津山東支店の建物を利用し、全国でも珍しい洋学を専門にした資料館が作られました。館蔵・寄託等の著訳書・書簡・医療器具・書画など、約9‚400点の資料が収蔵されています。
岡山には日蘭協会がありまして、私もその会員の一人であります。4月18日に、さん太ホールで日蘭協会のシンポジウムが開かれ、箕作阮甫について拝聴しました。箕作一門の譜系を見て、近代日本に大きな影響を与えた素晴らしい人々に感銘を受けました。
津山洋学資料館は、重要伝統的建造物群保存地区である城東地区にあり、周囲には国指定史跡「箕作阮甫旧宅」や、国登録有形文化財である「城東むかし町家」(旧梶村家住宅)などがあります。皆さんもぜひ訪ねてみてください。
2日目は美作高等学校を訪ねました。美作高等学校では、厳しい生徒減の中で、いかに特色のある学校教育で次代を担う若者たちを惹きつけるか、様々な取り組みが行われております。
第1の特色は、国際交流です。1996年にオーストラリア・エメラルド高校と姉妹校提携をし、現在でも半年ごとの交流が続いています。第2の特色は、通信制課程の導入です。2001年に地域における青少年健全育成の一助にと設置され、2008年には文科省「教育改革推進モデル事業」指定校となりました。高校に行けなかった・卒業できなかったが、学びたいと思う青少年が学習し、高校卒業資格を得ることができる制度です。年間30日程度のスクーリング、2週間ごとのレポート、単位認定試験というスケジュールで、単位制となっています。地域の中学・高校から入学者があり、現在では138名が在籍をしています。地域の青少年育成の健全育成、そして、地域に残る若者の育成につながっているそうです。
また、現在の取り組みとしては、下記のようにお聞きしました。今後の発展に期待をいたすところであります。
1.「地域立の学校」として、「地域とつなぎ、地域から学ぶ」教育
2.「わかる授業作り」で「行きたい」学校に、自主教材作りの奨励
進学系・実務系の2系統で運営、8コースと20系で一人ひとりを伸ばす
3.エクセル特進コースの充実・発展を、地域に貢献できる有用な人材育成
4.美作大学コースの「サテライト教室」
5.先駆的な高校ユネスコ活動
視察の最後の目的地は津山市阿波地域でした。かつて阿波村といわれていた地域は、今から10年前の市町村合併で津山市に組み込まれました。しかし、この10年の間に、小学校がなくなり、ガソリンスタンドがなくなり、幼稚園がなくなり、役場の規模が縮小されました。そして、人口700人ほどの村から145人ほどの人が村を離れていきました。慌てふためいた地域の人達は「あば村宣言」をし、活性化する地域の拠点づくりに村をあげて取り組んでいます。
私は2年前にこの地域を訪ねたことがありまして、地域活性化の指導的役割を果たしている小椋さんや皆木さんにも再会をいたしました。当時は、阿波村立小学校が津山市に編入され、地域の子供達がバス通学で村を離れることになった時期でした。私は、「6歳になったら村から出て行け、というようなことをしてはだめです。どんなに子どもの数が減っても、村に学校を残すことに力を尽くさなくてはなりませんよ」とお話をさせていただきました。お二人ともこのことを覚えておられましたので、「あば村宣言」というならば、もう一度、小学校の開校を考えてもいいのではないかと申し上げました。
また、公民館や役場、郵便局や児童館、温泉交流館や加工工場などが中心部に集中していますけれども、高齢化率が上昇している中で、病院や診療所が必要なのではないかと提案しました。そして、「働く人がいて、働く場所がある」ことが、村の活性化には非常に重要であります。産業振興や企業誘致などを考え、阿波村の復活を図るべきではないかと、意見を申し上げました。
役場とは、そもそも、地域の人達の役に立つ場所であります。その規模がどんどん縮小していくということは、行政とのつながりにおいて役所の果たす役割が縮小していくことであります。阿波地域運営のための予算は、今では津山市の地域振興課からの交付金となっております。自分たちで予算を考え自分たちが執行するという体制がなかったら、いちいちお金を使う時に市役所にお願いをすることになります。本当に地域に目が届き、細かい配慮で施策を行うことができるでしょうか。まことにまどろっこしく、隔靴掻痒の感がいたします。今後は、そのあたりのことも考えたらいかがでしょうかと申し上げました。
「平成の大合併」は、ある種の時代の流れでありました。大きな波とうねりが押し寄せてきて、たくさんの市町村が合併しました。当時は、合併したことによって繁栄し活性化すると考えられていましたが、まったくその逆になるとは誰も予想しませんでした。阿波地域では、行政が何かをしてくれるという発想ではなく、自分達が何かしなければ村は元気にならないぞ、という発想で取り組まれています。今後の阿波村に大いにご期待申し上げます。
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